前回に引き続き、熱中症の話です。
1 暑さ指数とは?
よく、暑さ指数という言葉を聞きますが、暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度)=Wet Bulb Globe Temperature)は、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。 暑さ指数(WBGT)は人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は若干気温とは異なります。
2 WBGT(湿球黒球温度)の算出方法は以下のようになっています。
屋外WBGT = 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内WBGT = 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
3 暑さ指数と運動に関する指針
では、暑さ指数が何度だとどのような対策が必要でしょうか。学校で熱中症事故が起 こった場合、学校はこの指針を遵守していたかどうかが問題となります。
① 指数31℃以上 (気温35度以上)
運動は原則中止
特別の場合以外は運動を中止する。
特に子どもの場合には中止すべき。
② 指数28~31℃ (気温31~35度)
厳重警戒(激しい運動は中止)
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動
は避ける。
10~20分おきに休憩をとり水分・塩分の補給を行う。
体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など暑さに弱い人は、
運動を軽減または中止。
③ 指数 25~28℃ (気温28~31℃)
警戒
(積極的に休憩) 熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分
を補給する。
激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。
④ 指数 21~25℃(気温 24~28℃)
注意
(積極的に水分補給) 熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。
⑤ 指数 21℃未満 (気温24℃未満)
ほぼ安全
(適宜水分補給) 通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要。
市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意しましょう。
【参照】
(公財)日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2019)