弁護士佐藤光子のブログ

弁護士佐藤光子(東京弁護士会所属)のブログです

熱中症対策と学校事故

  また今年も熱中症対策が必要な時期になってきました。今回は、生徒が熱中症になったとき、学校が責任を負うのはどのようなときか検討してみようと思います。
 いまは、学校は夏休み中ですが、学校が生徒に責任を負うのは授業中の場合のみではありません。クラブ活動などの課外活動や、学校が主催している行事も含みます。
 学校は、児童生徒の生命身体財産に損害が生じないように注意して指導監督すべきであるという安全配慮義務を負っています。

 部活動中に熱中症になった生徒が脳梗塞をおこし、左上肢に麻痺などの後遺症がのこり、学校の責任が問題となった判例(大阪地裁H28年5月24日)では、学校は安全配慮義務の一環として熱中症予防に努める義務があるとしています。
 この判例では、学校は、生徒が運動等を行う温度及び湿度、行う運動の内容や種類、それが身体に及ぼす影響の程度、補給する水分量などを踏まえ、熱中症の発生を未然に防止することが必要と認定し、この事故時には財団法人日本体育協会(今は財団法人日本スポーツ協会)の「熱中症予防のための運動指針」が周知されていたとして、気温に応じた運動の中止等の配慮が求められていたのに、その指針に準拠した予防対策をとる義務、及び温度計を設置して暑さ指数等の温度を把握する義務を怠り熱中症対策を怠ったとして学校の過失を認めました。 

 控訴審(大阪高裁)も同様の判断をしています。
 このほかにも熱中症の学校事故に関する判例は多くありますが、当日の気候、気温、練習の強度、時間、生徒の年齢、対直、休憩や給水の頻度、過去に事故の経験があるか、事故後の対応など、ケースに応じて状況を総合的に判断し、学校に過失があるかを判断しています。
 体育系の部活動は以前は根性論などあったかもしれませんが、ここ数年の異常な暑さを見ても、無理は事故に通じることになりますので、学校は熱中症事故が起きないよう、指針等を守り、万全の対策をとることが求められていると言えます。

 

【参考】
熱中症予防のための運動指針」公益財団法人日本スポーツ協会
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid922.html


「学校事故対応に関する指針」文部科学省
https://anzenkyouiku.mext.go.jp/guideline-jikotaiou/index.html