弁護士佐藤光子のブログ

弁護士佐藤光子(東京弁護士会所属)のブログです

動物愛護法改正でどうかわる?

超党派議員連盟の勉強会に出席するなどして1年以上関わってきた動物愛護法の改正ですが、なんとか改正法が成立しました。議員立法なので、反対する政党があると成立しないため、心配していましたが、かなりの主要論点につき改正されました。

 

1 どうかわったの?

①動物虐待に対する厳罰化

 動物殺傷罪の法定刑の上限が2年から5年に引き上げ、動物虐待罪は罰金刑のみだったが新たに1年以下の懲役刑が加わりました。殺傷罪は2倍以上の法定刑の引き上げになり、実効性ある規定となりました。先日のEva主催のシンポジウムでは、「今後実刑を言い渡す裁判官が出てくるのか」というご質問がありましたが、裁判官も社会の流れを見ながら判決を言い渡しており、量刑相場も社会とともに変わってきます。動物に対する犯罪は許さない、毅然と対処するんだという社会的な流れを作っていくことが、裁判官を後押しし法定刑の引き上げを実効的なものにしていくのではないかと思います。

 

② 業者の遵守基準の具体化

 設備の構造および規模、従業員の人数、繁殖回数・繁殖に供する動物の選定、繁殖の方法に関する事項などについて、具体的に定めることが明記されました。今後は、成立した内容が、改正の趣旨に沿って確実に実行できるようにすることが求められています。業者の遵守基準は、今後どのように具体化されるかで、実効性がある基準になるかが異なってきますので、国際的な動物福祉の観点に沿った、具体的な数値基準の策定が求められます。環境省内に設置された「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」で検討されることになると思われますが、骨抜きにならないよう行方を見守っていくことが求められます。

 

③犬猫の展示販売の生後8週まで販売禁止(附則がとれた)

 8週令規制は、その実行を妨げていた附則が削除され、本則通りになりましたが、新たに日本犬がこの規制から除外されることになりました。除外される対象が拡大しないよう、見守る必要があります。

マイクロチップの装着・登録義務化

⑤実験動物、畜産動物については改正議論の論点としては上がっていましたが、残念ながら進展は見られませんでした。

 

2 動物愛護法改正だけで大丈夫?

  たしかに、今回の改正は大きな前進ではあるのですが、5年ごとに積み残し課題を改正し続ければ問題点がなくなるというものではありません。今回の改正への勉強会を通じて感じたことですが、多岐にわたる動物の問題を、すべて動物愛護法で解決しようということには限界があります。

 民法上、動物は所有の対象である「物」であるという規定が厳然として存在し、動物保護の現場では支障となっていることはよく耳にします。そのままでよいのか、社会の認識と乖離してきているのではないかなど、根本的な法概念についても、そろそろ実践的に検討しても良いのではないかと思います。諸外国では、動物を「物」でないと定めた国もあります。人と物の中間領域として独自の法人格を検討し、法主体としてどこまで権利性を認めるのかなど、根本的なことも議論をしても良いのではないでしょうか。特別法をいろいろ検討することと併せて今後の課題と言えるでしょう