弁護士佐藤光子のブログ

弁護士佐藤光子(東京弁護士会所属)が食品安全やペット問題、環境問題、医療問題など関心分野について日々つづるブログです

農薬の規制はどうなっているの?(農薬取締法・後半)

農薬取締法について、前回の解説の続きです。

(1) 登録保留基準

 環境大臣が定める基準で,作物残留性,土壌残留性,水産動植物への毒性,水質汚濁性などに関するものがあります。

 作物残留性とは,申請書の記載に従って使用した場合,農作物などに汚染が生じ,汚染された農作物が原因となって人畜に被害が生ずるおそれがあることです。

 土壌残留性とは,同じく申請書の記載に従って使用した場合,農地が汚染されて農作物の汚染が生じ,その汚染された農作物が原因となって人畜に被害が発生するおそれがあることです。

 水産動植物への毒性とは,相当量が広く使用された場合,水産動植物への被害が発生するおそれがあるものです。

 水質汚濁性とは,相当量が広く使用された場合公共用水域の汚濁が生じ,その汚染された水の利用が原因となって人畜に被害が生ずるおそれのあることです。(第3条第1項第4号~第7号)。

(2) 農薬の販売規制

 農薬を販売する者は,所在地を管轄する都道府県知事に氏名,住所,販売所を届け出なくてはなりません(第8条)。農薬の販売者は,農薬の容器包装に正規の表示のある農薬及び特定農薬以外販売してはなりません(第9条第1項)。

 農水大臣は,農薬の登録の変更を命じた場合などで,人畜の被害発生を防止するため必要がある場合は,省令でその農薬の販売禁止などを命じることができます(第9条第2項)。また,販売者が販売禁止命令に違反して販売した場合,人畜への被害発生を防ぐため,必要の範囲内において回収等必要な措置をとるよう命じることができるとされています(第9条の2)。

 製造者,輸入者,販売者は,帳簿を備え付け,農薬の種類別に製造・輸入・譲受数量・譲渡数量などを真実かつ完全に記載し,最低3年間保存する義務があります(第10条)。

 なお製造者,輸入者,販売者は,登録を受けていない農薬を登録農薬であると誤解させるような宣伝をしてはならず,有効成分や成果に関しても誤解を生ずるおそれのある名称を使用してはならないとされています(第10条の2)。

(3) 農薬の使用規制

 農薬は登録された適用病害虫及び使用方法どおり使用することが義務づけられています(12条)。

 原則的に,何人も容器包装に正しい表示がある農薬と特定農薬以外の農薬を使用してはならないとされています。

 また、水質汚濁性農薬として指定された農薬の使用は,事前に都道府県知事の許可を得なくてはなりません(第12条の2。水質汚濁性農薬とは,相当広範な地域でまとまって使用される農薬で,一定の気象条件,地理的条件などによって,水生動植物の被害が発生し,その被害が著しいものとなるおそれがあるか,公共用水域の水質汚濁が生じ,その水の利用が原因となって人畜に被害が生じるおそれがある農薬をいいます。

 平成15年には,農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令第5号)農水大臣及び環境大臣から出されました。

 そこでは、農薬使用者には,農作物や人畜,農地,水産動植物,公共用水域に被害が発生しないように使用する責務があること,表示事項を遵守すべきことが定められています。

 また、食用・飼料用農作物に農薬を使用する者は,適用農作物の範囲に含まれない農作物には使用してはならず,一定の使用量を超えたり,定められた最低限度を下回る希釈倍数で使用してもならないとされています。また規定された使用時期,総使用回数を超えて使用することも禁止されています。

 さらに、くん蒸により農薬を使用する場合,航空機を用いて農薬を使用する場合,ゴルフ場において農薬を使用する場合,各使用者は,使用者の住所氏名,使用計画等を記載した使用計画書を毎年,使用前に農水大臣に提出しなくてはなりません。航空機を使用する場合は,対象区域において,風速・風向を観測し,対象区域外への農薬の飛散を防がなくてはなりません。

 住宅地において農薬を使用する場合は,農薬の飛散を防止するために必要な措置を講じるよう努めるとされています。

 また、農薬使用者は,使用年月日・場所・対象農作物・農薬の種類や名称などを帳簿に記載するよう努めるとされています。