弁護士佐藤光子のブログ

弁護士佐藤光子が食品安全やペット問題、環境問題、医療問題など関心分野について日々つづるブログです

農薬の規制はどうなっているの?(農薬取締法・前半)

 食品の安全性に関して考えるとき、農薬の問題についてよく話題になりますが、日本ではどのような法規制になっているのでしょうか。農薬取締法について2回に分けて概観したいと思います。

(1)目的

農薬取締法は,農薬について登録制度を設け,販売及び使用の規制等を行うことにより,農薬の品質の適正化,安全かつ適正な使用の確保を図り,農業生産の安定と国民の健康保護に資するとともに,国民の生活環境の保全に寄与することを目的としています(第1条)。

  農薬の定義は法第1条の2に以下のように定められています。

 ①農作物等を害する病害虫の防除に用いられ殺菌剤,殺虫剤その他の薬剤

 ②農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤,発芽抑制剤その他   の薬剤

 ③天敵

 また、農作物等には,樹木及び農林産物を含みます。病害虫とは,菌,線虫,だに,昆虫,ねずみその他の動植物又はウィルスをいいます。白アリなどは,農作物を害する病害虫ではないので,白アリ駆除などの殺虫剤は農薬ではなく,農薬取締法は適用されません。

 

(2) 農薬登録制度

 農薬を製造又は輸入しようとする者は,農林水産大臣の登録を受けなくてはなりません。登録に当たっては急性毒性など,一定の毒性試験資料を添付しなければなりません。登録のない農薬を製造販売したり,使用することは禁止されています。

 登録すべき内容は,適用病害虫の範囲及び使用方法,人畜に有毒な農薬についてはその旨及び解毒方法,水産動植物に有毒な農薬はその旨,引火性・爆発性・皮膚を害するなどの危険のある農薬はその旨,貯蔵上または使用上の注意,製造上の名称及び住所,などとなっています。登録を受けた者は,省令で定める登録票を製造場や主たる事務所に備えつける義務があります(第6条)。

 登録有効期間は3年です(第5条)。

 農水大臣は,登録農薬につき,登録番号や種類名称,製造者の住所氏名などを広告することになっています(第6条の7)。

 製造者等は,登録後その農薬の適用病害虫の範囲等の変更申請をすることができます(第6条の2)。

 また申請書記載通り使用した場合,人畜に危険を及ぼすおそれがあるなどの有害性が分かった場合,農水大臣が職権で登録内容を変更したり,登録を取り消すことができます(第6条の3)。

 製造者は登録農薬の製造を廃止した場合,2週間以内に届け出る義務があります(第6条)。

 登録が取り消されたり変更された場合,あるいは製造者が製造を廃止する旨届け出た場合には,従前の登録は失効すします(第6条の5)。

 有効期間が満了し,再登録を受けないときや,登録取消,製造廃止等により失効した場合,登録事業者は登録票を農水大臣に返納しなくてはならなりません(第6条の6)。  また農水大臣は,登録が失効した場合,登録時と同様の広告をすることになっています(第6条の7)。

 登録農薬には,登録番号,種類・名称,物理的化学性状,有効成分と含有量,適用病害虫の範囲・使用方法,人畜に有害な農薬はその旨と解毒方法,貯蔵及び使用上の注意,最終有効年月など,一定の表示が義務づけられており,表示のない農薬の販売や使用は禁止されています(第7条)。

 なお原材料に照らし農作物,人畜,水産動植物などに害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農水大臣及び環境大臣が指定する農薬(特定農薬)の場合は,登録が免除されています(第2条)。