弁護士佐藤光子のブログ

弁護士佐藤光子(東京弁護士会所属)が食品安全やペット問題、環境問題、医療問題など関心分野について日々つづるブログです

食品製造業・小売業の適正取引推進ガイドライン

持ち帰り弁当の「ほっともっと」を展開するプレナス(福岡市)が下請業者に支払うべき代金の一部を不当に減額したことが下請法違反に当たるとして、公正取引委員会が3月2日、減額した計約3411万円を業者に返還することなどを勧告し、同社は勧告に従って返還する予定というニュースがあり、私もネットニュースなどでコメントさせて頂きました。

報道記事によると、弁当の具材となる加工肉や調味用ダレの製造をプレナスは下請業者に委託しており、値引き商品の広告料や売れ残り商品の返品代などを名目にして、発注時に定めた支払代金から減額したり、販売を終了したメニュー用の肉の返品を行なったりしていたとのことです。

下請法では、対象となる取引では、下請事業者の了解を得ていても,親会社に違法性の意識が無くても、親事業者は発注時に決定した下請代金を「下請事業者の責に帰すべき理由」がないにもかかわらず発注後に減額すると下請法違反となります。また、下請事業者から納入された物品等を受領した後に,明らかに下請事業者に責任がある場合以外に、受領後に返品すると下請法違反となります。

下請法は、下請け業者の立場が弱いことから、発注後であっても減額を要求されると拒否しにくいことから、下請け業者の利益を守るための規定ですので、減額の名目、方法、金額の多少を問わず、発注後、どの時点での減額しても違反となります。

減額の名目は協賛金、手数料、値引き、管理料でもなんでも、発注時の金額から実質的に減額となっている場合は不当減額となります。

また、一旦納入した物品を、返品されると、下請け業者の利益が害されることから、受領後速やかに不良品を返品するような場合以外は、店舗における売れ残り、商品入れ替え、客のキャンセル、賞味期限切れなどを理由に返品は出来ません。

プレナスは、値引き商品の広告料、売れ残り商品の返品代などを理由に実質的に発注時の金額から減額させたり、売れ残りを理由に返品するなど違法な減額、返品となり下請法違反とされました。

 食品業界では、力関係からこういったことが起こりやすいですが、下請事業者と親事業者との間で、適正な下請取引が行われるよう、国が策定したガイドラインである下請適正取引等の推進のためのガイドラインでは、これまで食品のガイドラインはありませんでした。

3月30日に、食品製造業・小売業のうち、豆腐・油揚製造業のガイドラインが加わりました。ガイドラインでは、下請代金法等で問題となり得る取引事例等が分かりやすく、具体的に記載されています。

なぜ、、豆腐・油揚製造業かという点ですが、ガイドラインによれば、豆腐・油揚は、いわゆる日配品で日持ちがせず、店頭で の特売の対象となりやすく、納品先であるスーパーやドラッグストア等との取引について実態 調査を行ったところ、豆腐製造業者と小売業者との間における取引慣行で、必ずしも各種法令に即した取引ルールにより取引を行 っているわけではなく、長年の取引慣行だからという理由で、法令違反のお それのある取引を繰り返している例も存在したからとのことです。

2017年3月末時点で、ガイドラインは、(1)素形材、(2)自動車、(3)産業機械・航空機等、(4)情報通信機器、(5)繊維、(6)情報サービス・ソフトウェア、(7)広告、(8)建設業、(9)トラック運送業、(10)建材・住宅設備産業、(11)放送コンテンツ、(12)金属、(13)化学、(14)紙・加工品、(15)印刷、(16)アニメーション制作業、(17)食品製造業・小売業(豆腐・油揚製造業)の17業種で策定されています。

ガイドラインについてのビデオ 

https://www.youtube.com/watch?v=90TXbzcd3zg&feature=youtu.be