弁護士佐藤光子のブログ

弁護士佐藤光子(東京弁護士会所属)のブログです

食品事故と製造物責任(PL法)(11)

⑩ 東京地判平成23年9月28日

飲食店Xで鯖の焼き魚定職を食べた者が鯖に混入した針状の異物を飲み込み内視鏡で摘出したとして、Xが被害者に賠償請求金を支払った。Xは鯖製品を製造販売したZを製造物責任で損害賠償請求。

Zからその製品を購入しXに販売したYには債務不履行責任を追及したが、判旨は鯖商品の加工、流通過程を詳細に検討し、異物混入原因は判然としないとしてYZいずれの責任も認めなかった。

 

  Z(製造販売)→Y→X(飲食店)→客

 

食品事故と製造物責任(PL法)(10)

⑨ 東京地判平成27年9月15日

Xが輸入したポップコーンを購入して食した際、混入していた固い粒により、インプラントに受傷したとして損害賠償請求。

固い粒は不発コーン。ポップコーンが広く消費されている商品で、製造過程で不発コーンがある程度混入している可能性があることや、咀嚼が困難な程度の硬度を有していることは、一般人が容易に認識しうる。

製造上の欠陥も指示警告上の欠陥もないとした。

食品事故と製造物責任(PL法)(9)

⑧ 東京地判 平成31年4月12日

 

サンドイッチ様の食品を購入して食べたところ、そのなかの食肉加工品に骨片が残存しており、消費者の歯に損傷が発生した。消費者は商品の販売会社Xに対して損害賠償請求。食肉加工品の製造会社Yは補助参加。

食肉加工品については除去しきれない微細な骨片が残存していたとの一事をもって、食料品として通常の安全性を欠く製造上の欠陥があったとは言えないとした。

サンドイッチ様の商品については、消費者は特段の警告がなければ、比較的柔らかい食材と認識し、内容物を特段吟味しない、これを食べた消費者の口腔内を傷つける危険性があったと言うことができ、危険性を潜在的に有する食品と言える。Xは場合によっては歯を含む口腔内を傷つける可能性があることを予見しえた。Xは骨片の残存可能性を注意書き等によってわかりやすく警告すべきであったとして指示警告上の欠陥があったとした。

 

 Y(食肉加工品)→X(サンドイッチ様商品)→消費者

 

食品事故と製造物責任(PL法)(8)

⑦ 東京地判 令和元年8月30日

せんべいに固い部分が存在し、これが欠陥であり、食べた消費者の歯が欠けたとして消費者がせんべいの製造販売会社に損害賠償請求。

欠陥があったといえるためには、硬さが通常人であればこれを食することにより、歯が欠けるほど固いものであったかことが必要とし、本件はそれに当たらないとした。       

食品事故と製造物責任(PL法)(7)

⑥ 東京高判 平成14年12月13日

割烹料理店で調理されたイシガキダイ料理を食べたところ、魚毒を原因とする食中毒に罹患した。客は割烹料理店に対し、治療費、休業損害等を製造物責任に基づき請求した。

危険は自然毒であり調理者が加工時に新たに作り出したものではないが、引き渡し時に客観的に存在すれば欠陥と認めた。自然毒の危険除去の可能性がないことは、免責事由にはならない。個人経営の割烹料理店であるが、製造者等といえるにはあらかじめ危険の分散手段があればよく、事業規模の大小は責任主体にはかかわらないとした。

 

食品事故と製造物責任(PL法)(6)

⑤ 東京地判 平成13年2月28日

Xがイタリアから輸入した瓶詰オリーブをレストランで食した客がボツリヌス中毒にり患。客はXとレストランに製造物責任に基づき治療費を請求。レストランは、Xに対し、製造物責任に基づき、営業損害、信用損害を請求。

ボツリヌス菌がどの段階で混入したかが問題になり、「無酸素の状態で発育し、酸素があると増殖できないという特徴や日本国内ではほとんど検出されていないことから、瓶の開封前から存在していたと推認し、輸入業者の製造物責任を肯定。

 

  輸入X→レストラン→客

食品事故と製造物責任(PL法)(5)

④ 東京地判 平成16年8月31日

食肉輸入販売業者がカナダから輸入した馬肉をXに販売し、Yが加工して焼き肉店等に販売したところ、馬刺しの一部からO-157が検出された。Yは輸入販売業者に対して製造物責任等により馬肉売り上げ減少による損害賠償を請求

輸入時にすでに汚染されていたかが問題。保健所が検査した時点で発見された細菌がどの時点から馬肉に付着していたか不明であり、海外の工程か国内の工程か不明とし、輸入業者の製造物責任を否定。

 

  輸入業者→X→Y