弁護士佐藤光子のブログ

弁護士佐藤光子(東京弁護士会所属)が食品安全やペット問題、環境問題、医療問題など関心分野について日々つづるブログです

動物愛護法改正 動物取扱業者の規制(5)ー 許可制、免許制への移行ー

前回書いたような登録制の下での改正も考えられますが
ただ、登録制はあくまで登録制であることの限界もあります。

・繁殖業者に関しては、動物の母体の安全性や、遺伝的な問題など、専門的な見地も求められることから、登録制以上の規制を導入し、繁殖に的確な知見を有する適格者のみに営業を認める免許制にするということを考えても良いと思います。そのうえで、繁殖業者には飼養管理について具体的な繁殖制限規制などの導入の検討がなされても良いかと思います。

・偽名や架空住所、虚偽の資格要件でも登録ができてしまっているという問題点も聞きますので、許可制や免許制で身元確認を厳しくするということも考えられると思います。

・さらに無登録や不正の手段による登録は罰則があり、100万円以下の罰金となっていますが、実際のところ無登録営業の告発はなされていないようです。動物愛護法の登録制は実質的許可制で厳しめに制定されているから許可制にする必要はないという主張も聞きますが、実際に厳しい運用はなされていないのでは意味がなく、現状を見ると登録制では限界なのかという気もします。

原則禁止の行為を例外的に許可するというのが許可制ですので、形式的な規制のレベルとしても許可制まであげて上げて実効性を担保するということも考えられると思います。

以上、思いつく改善点をあげてみました。もちろん一気にすべてということではないかもしれませんし、営業の自由の過度の制約になるのではと危惧する意見も耳にします。しかし、現状で動物取扱業者の問題が指摘され、適切な法の規制、運用ができていない以上、動物愛護法に定めるヒトと動物の共生する社会の実現という目的達成の上で必要な政策的な制約として、次期改正での動物取扱業者の規制の厳格化はやむを得ないのではないかと考えています。

動物愛護法改正 動物取扱業者の規制(4)ー 登録制の下でできることー

 では、今後、動物取扱業者の規制のために、動物愛護法はどのように改正、改善していけば良いのでしょうか。
 方法としては、現行の登録制のもとでできることとしては、下記のようなことがあげられると思います。

① 現行法では、動物愛護法違反等の関連法違反で罰金以上が確定しないと登録拒否で   きませんし、関連法違反がないと登録取消、業務停止を適用できません。たとえば繁殖業者が動物愛護センターに虚偽の申告をして偽計業務妨罪に問われたケースや、動物の大量遺棄で廃棄物処理法違反に問われた場合は、これには当たらなくなってしまう訳で、登録拒否、登録取り消しと言ったことができなくなっています。そのため、対象となる法や動物由来の事件に対象を広げることを検討しても良いのではないかとも考えられます。

② 登録時、更新時の立ち入りは現在は任意ですが、これを義務化して、登録させるのに妥当な業者かを確認することが検討されても良いと思います。  

③ 取消処分は、現行は取り消すことが「できる」と任意で、行政裁量の余地があるため、業者にとっては不利益処分となる業務停止や登録取り消しを行政は慎重に行使しようとするあまり、実際はほとんど行使されていません。必ず取り消すことにするという必要的取り消しが検討されても良いでしょう。

④ 登録取消後の再度の登録の欠格期間を現行の2年から引き上げ、厳しくし5年に延長することが検討されても良いでしょう。

⑤ 動物保護の現場から指摘されている、問題が多い動物輸送業につて、現在は動物取扱業ではありませんが、動物取扱業に追加をして、動物愛護法の規制の対象とすることが考えられます。

⑥ 現場の行政機関が、動物愛護法違反か否かについて判断し、適切な対応がとりやすいように、具体的な飼養施設の数値基準や行政処分の基準を策定することが考えられます。

 

動物愛護法改正 動物取扱業者の規制(3)

 動物愛護法違反があった場合の処分がどのようになされるかを次に見てみたいと思います。

 動物愛護法21条では、動物の健康安全保持や生活環境保全のために動物の管理の方法に関して環境省令で定められた基準を遵守することとなっていますが、この違反があった場合にどのような処分がなされるかというと、改善勧告、そして改善命令ができ、業者に報告を求めたり、立ち入り調査ができます。
 それでも、違反状態が改善されないときは、一定期間の業務停止命令ができ、さらにその期間にも改善がなければ、登録の取り消しもできます。
 しかし、以上はあくまでできるということで、どのタイミングでどのようになされるかは行政の裁量となっています。実際のところ、行政の業者への指導はそれなりになされているようですが、処分対象になるのは非常に数が少ないのが現状です。

 環境省のHP資料を見ても、立ち入り調査などはそれなりの件数がなされていますが、2015年では業務停止は1件、登録取消は0のようです。
 そのため、動物保護の現場からは、処分が法律で定められていても、実効性あるのかと疑問の声が上がっているのです。

動物愛護法改正 動物取扱業者の規制(2)

 現在の動物愛護法の営利業者規制(第1種動物取扱業者規制)は、どのようになっているでしょうか。

 まず、登録基準を満たさなければ、登録を拒否しなければならないという扱いになっています。登録基準としては事業所の所在地や施設の所在地などが条文上、定められています。

 また、登録後、取り消しとなる場合が定められており、いったん登録取り消しになると、その後2年は登録できません。
 いくつか条文上定められている動物愛護法関連法規違反の後も、2年は登録できなくなっています。
 登録は5年ごとに更新が必要で、更新拒否もありえます。
 登録事項に変更あれば届出必要です。
 業務停止処分、登録取消についても定められています。ただ、取り消し要件をみたせば、必ずとりけされるというわけではなく「業務停止できる、取り消すことができる」という行政の裁量の余地のあるものとなっています。
 立ち入り調査もできることになっていますが、立ち入り調和をするかも、行政の任意の判断となっています。 

 

動物愛護法改正 動物取扱業者の規制(1)

来年は、動物愛護法の改正が予定されていますが、その大論点の一つとして、動物取扱業者の規制強化があげられます。どうしてそのような話となっているのか、何回かに分けて解説していきたいと思います。

まず、一般に営業の自由への規制方法としてどのようなものがあるかを見てみたいと思います。
営業の自由の規制方法としては、届出制、登録制、許可制、免許制とありますが、規制右にいくほど厳しい規制となっています。

届出制ですが、本来は規制の趣旨ではなく、行政が事実を把握するために業者に一定の事項を通知させるためのものです。2012年の改正前の動物愛護法はこの届け出制でした。

つぎに登録制ですが、登録というのは、所轄行政機関に書類を提出し、帳簿に登録されれば成立します。登録事項が決まっており、それを満たす必要があります。登録制だからと言って、登録の取り消しが必ずしも定められている訳ではありません。登録要件となっている登録事項の多い少ないや、登録取り消しが定められているかで届け出制に近いものから許可制に近いものまであります。今の動物愛護法は登録制となっています。登録制の中でも厳しめなのではないかとも言われています。許可制より、行政庁の自由な判断の余地がすくないのも登録制の特徴といえます。

次に許可制ですが、公益上の理由などから、原則禁止している行為を特定の場合に解除する制度です。許可要件を満たしていても個別具体的な審査で許可しないこともできるなど、行政の裁量がひろい制度です。許可後も監督権や取り消し権などあり、登録制より厳しい規制です。

最後の免許制は、特定の資格を持ったものに、権利や地位を与えるといった制度です。
各制度は規制の必要性に応じてバリエーションがありますが、一般的にはそのように言われています。

では、現行の動物愛護法がどのような登録制か次回検討したいと思います。

味の素 川崎工場見学

 東京商工会議所の皆様と、味の素川崎工場見学に行ってきました。京急鈴木町駅を出るとすぐに目の前にうまみ体験館があり、展示やショップがあります(あじぱんだグッズが売っています)。工場見学バスはこの体験館前から出発し、広大な工場敷地内を通過し、見学できる工場へ移動です。見学場所はクックドゥ、味の素、本だしのいずれかの工場で、私はほんだし工場の見学となりました。鰹節を実際に削る体験や、うまみを感じる体験など、体験型の工夫はされており、ほんだしのできるまでの過程の説明もわかりやすかったですが、実際の機械動いている様子は少ししか見ることができず、品質管理の様子もあまり見えず、質疑応答もなくちょっと物足りない見学でした。ちなみに鈴木町駅とは、味の素の創始者の鈴木さんに由来する名前だそうです。

f:id:syokuhin-pet:20170908003306j:plain

f:id:syokuhin-pet:20170908003513j:plain

f:id:syokuhin-pet:20170908003431j:plain

全加工食品の原材料の原産国表示義務付け施行

 本日付けで、国内で製造される全加工食品の原材料の原産国表示を義務づけた改正が食品表示基準が施行となりました。準備が整った業者から新基準に沿った表示にし、2022年4月までは、業者の表示切り替えの猶予期間とされ、順次新基準にするものとされています。
 従来は、一部の品目だけが対象だった原産国表示義務が全品目に拡大されます。重量が一番重い原材料の原産国を重量順に表示し、3カ国目以降は「その他」と記載できます。
 ただし、例外的な表示も認められ、仕入れ先が頻繁に切り替わるなど、上記のような表示が難しい場合は、「A国またはB国」としたり、「輸入または国産」という表示が可能なケースもあり、この点で混乱を招くのではという批判や、実効性への疑問の声も聞かれます。新表示への切り替えの猶予期間があるため、推移を見守りたいものです。