弁護士佐藤光子のブログ

環境(ESG,SDGs)、ビジネスと人権、食品などのブログです

多くの弁護士が気候変動対策にかかわるには

顧問先にエネルギー関係の企業がある、気候変動関係のNGOに関わっているなど、特に気候変動問題に深く関わっている弁護士以外の弁護士が圧倒的多数だと思います。弁護士が気候変動対策に関わるとしたら、以下の二つの方法かと思います。

①自分の日々の弁護士業務の中でできること、事務所経営などの中でできるCO2削減の方法を考え実践する。

②顧問先の企業(特に中小企業)に気候変動に関する法、様々なルール、社会情勢、国際情勢(SDGsや「ビジネスと人権」なども)を情報提供し、リスクや取りうる方法を一緒に考える。

英国の弁護士会にあたる組織では、弁護士がこのような行動をとることをルール化しているようで、参考になりました。②については、今後、日本の弁護士たちも実践していくことが期待されるようになると思われます。弁護士と様々な団体がコラボして、気候変動に関するルール等につき情報提供を進め、企業の取り組みを後押し、サポートすることも期待されます。

 

企業からの食品寄贈を進めるために

免責と補償はセットで

食品ロス対策として、食品関連企業からフードバンクや子ども食堂などの団体への寄贈を積極的に進めていくことは重要です。

しかし、なかなか進まない要因としては、受贈側の団体の商品管理は通常の流通ルートと異なり、どの程度きちんとできるのかが不明であったり差があり、健康被害などひとたび何か起きた場合のレピュテーションリスクなどから、躊躇するという現実があるようです。商品の流通が通常であれば小売りで終わることろが、団体への寄贈によりさらに長期になるため製造物責任法(PL法)による責任を負う可能性も増えるのではないかという議論も聞かれます。

そのため、善意で寄贈された食品により健康被害が生じた場合は、寄贈者は法的に免責されるという立法ができないかということが、以前より話題になっていました。

諸外国では、そのような免責を定めた立法をしている国もあります。

しかし、寄贈にだから健康被害が発生して良いというわけではありませんので、不幸にして被害者が出た場合は、その被害者は救済されなければなりません。方法としては国による賠償や、寄贈を受ける団体が保険に入り、そこから賠償する制度が必要です。

寄贈者の免責を立法化している国でも、どちらかの被害者救済方法をとっているのが通常です。免責と被害者補償はセットで制度構築していく必要があると言えましょう。

池袋防災館訪問

商工会議所の関係で、池袋防災館に行ってきました

(体験・視察ネタが続いていますが、もちろん仕事もしています)。

 

やったことは

・消火器訓練

VRを使用した火災、地震体験

・火災の際の煙を潜り抜ける体験

震度7地震の体験

です。

消火器体験でわかったことは

消火器が使用できるのは炎が天井に届く直前までで、それを超えた場合はあきらめて逃げる。

消火器で届くのは3m、炎の根元に向かって放射する。

というのが大事です。

また、油の炎に水をかけると、余計も燃え上がるのでいけません。

解説をしてくださった方のお話では、火災現場の検証の際、火元付近に使用されなかった消火器が転がっていることがあるそうで、おそらく使用しようとしたけれど、うまく使えず、そのうちに消化できるレベルではなくなってしまったのではないかというお話でした。一度やってみると簡単なことなのですが、やったことがないと焦ってしまい使用できないかもしれません。

煙の中を潜り抜ける訓練は、姿勢を低く、ハンカチを口に当てて、なければ袖口を口元にあてて避難、非常口のドアは手の甲で下側から触ってみて熱くなっていなければ開けてよいとのことです。

防災館は東京は3か所あるので、一度体験されることをお勧めします。

 

 

東京ガス横浜テクノステーション メタネーション施設見学

東京ガス横浜テクノステーション メタネーション施設を訪問させていただきました。送迎のバスは水素バスで、江東区では路上も走っているようです。水素のタンクが左右一つの座席分くらいを占めており、通常のバスより大型の印象ですが、静かで乗り心地は良かったです。

東京ガス : 脱炭素社会の実現に向けて◆メタネーション実証試験を開始 (tokyo-gas.co.jp)

動物愛護法2025年改正へ向けての議論がスタート

動物愛護法議員立法で5年ごとに改正が行われています。次回の改正は2025年です。動物愛護法について議論している超党派議員連盟では2025年改正へ向けての議論が先月から始まりました。前回の改正にひきつづき、私もアドバイザーとして出席させていただいています。

まずは次回にどのような改正が必要か論点整理をしていますが、特に緊急性を要するものとしては、動物の所有者である悪質な飼い主や業者から、いかに動物を保護するかという点で、緊急一時保護や、所有権の停止・はく奪などの可否の議論をし始めています。動物は日本の民法上は「物」のため、その所有者との関係では制限が厳格なところがあり、そもそも動物は生命があるのに「物」でよいのかという議論もあります。

諸外国で動物に関する法につき先進的な国では動物は「物ではない」と民法上定めている国もあります。そのような国では動物保護法を作り、生命ある動物に特殊な対応はその中に規定し、そのほかは民法の「物」の規定を準用しているようです。そのあたりの海外の動きも今後研究していこうと思います。

それ以外の論点では、動物の福祉との関係で、畜産動物や実験動物への対応も論点となりそうです。

数少ない動物関係法に関わる弁護士として、よりよい法律になるよう今回も提言等ができればと思っています。

飲食店の食材の使いまわしについてコメントしました

飲食店の食材の使いまわしについてコメントしました。船場吉兆は、客が手を付けていないものを使いまわしていたとのことですが、この件は明らかに前の客が手を付けているのでより悪質かもしれません。

食品ロスをなくすために企業の寄贈を増やすためには

食品ロスをなくしたい、というのはみんなの願い。食品関連企業も、ロスが出るようであれば、子ども食堂、フードバンクなどに寄贈したいという思いはあるものの、食品であるがゆえに、安全性が強く求められ、二の足を踏んでしまうこともあるのではないでしょうか。

一般社団法人サスティナブルフードチェーン協議会は「食品寄贈ガイドラインに関する報告書(第1版)」を2021年に公表していますが、その中では、どのような点を改善すれば、企業から寄贈がされやすくなるのかについての分析がなされています。法的な部分は私もアドバイスさせていただきました。内容をわかりやすくまとめた動画もありますので、食品ロス対策に関心のある方には、おすすめです。

 

①前編:食品寄贈ガイドラインに関する検討報告1

 食品ロスの現状と食品寄贈の考え方、食品寄贈ガイドラインの必要性。

https://youtu.be/Qz6ExrRu8GI

 

②後編:食品寄贈ガイドラインに関する検討報告2

食品寄贈ガイドラインについて、WHO/WHAT/HOW、リスク、コストについての検討内容を紹介。

https://youtu.be/ZDOANwoTmtY

 

③実例紹介:食品寄贈の現場から~協力:ローソン

https://youtu.be/hDFYeoiE7Ko